2012年3月29日木曜日

DSMとICD、うつ病のエピソード基準 うつ病


現在広く使われているDSMとICDにおける基準内容を記します。うつ病とは何か?という問題は色々と難しいのですが、現在の医療関係者の基準はこのようなものを元に診断しています。

医療従事者でもなければこれを一字一句追う必要はありません。「自分は鬱病かしら?」「知人がうつ気味だ」という方は、もっと簡単なチェック項目がありますので、そちらを参照してください。

DSM-IVの診断基準

「精神障害の診断と統計の手引き」(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, DSM)は、アメリカ精神医学会の定めた診断基準です。これが世界的には広く使われていて、改訂を繰り返し2010年には第5判が完成する見通しです。

大うつ病エピソード(Major Depressive Episode)に関しては以下の通り
(大うつ病という名前は重い症状という意味ではなくメジャー、主流という意味での「大」です)

A 以下の症状のうち 5 つ (またはそれ以上) が同じ 2 週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも 1 つは、(1) 抑うつ気分または (2) 興味または喜びの喪失である。
注:明らかに、一般身体疾患、または気分に一致しない妄想または幻覚による症状は含まない。


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1. その人自身の言明 (例:悲しみまたは、空虚感を感じる) か、他者の観察 (例:涙を流しているように見える) によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。
注:小児や青年ではいらだたしい気分もありうる。
2. ほとんど 1 日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退 (その人の言明、または他者の観察によって示される)。
3. 食事療法をしていないのに、著しい体重減少、あるいは体重増加 (例:1 カ月で体重の 5%以上の変化)、またはほとんど毎日の、食欲の減退または増加。
注:小児の場合、期待される体重増加が見られないことも考慮せよ。
4. ほとんど毎日の不眠または睡眠過多。
5. ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止 (他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的感覚ではないもの)。
6. ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退。
7. ほとんど毎日の無価値観、または過剰であるか不適切な罪責感 (妄想的であることもある。単に自分をとがめたり、病気になったことに対する罪の意識ではない)。
8. 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる (その人自信の言明による、または、他者によって観察される)。
9. 死についての反復思考 (死の恐怖だけではない)、特別な計画はないが反復的な自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画。

B 症状は混合性エピソードの基準を満たさない。

C 症状は、臨床的に著しい苦痛、または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

D 症状は、物質 (例:乱用薬物、投薬) の直接的な生理学的作用、または一般身体疾患 (例:甲状腺機能低下症) によるものではない。


ADHDはどのように診断されるか。

E 症状は死別反応ではうまく説明されない。すなわち、愛する者を失った後、症状が 2ヵ月を超えて続くか、または、著明な機能不全、無価値観への病的なとらわれ、自殺念慮、精神病性の症状、精神運動抑止があることで特徴づけられる。

ICD-10の診断基準

疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems ICD) とは、死因や疾病の国際的な統計基準として世界保健機関(WHO) によって公表された分類です。

これも改訂を繰り返しDSMについで広く使われています。単なる診断基準としてだけではなく、病気の分類としての役割も大きく、公的な役所への書類や障害の認定などでは、この基準が大きくクローズアップされます。

G1. うつ病エピソードは、少なくとも2週間続くこと。
G2. 対象者の人生のいかなる時点においても、軽躁病や躁病エピソードの
診断基準を満たすほどに十分な躁病性症状がないこと。
G3. 主要な除外基準:このエピソードは、精神作用物質の使用、
あるいは器質性精神障害によるものでないこと。

F32.0  軽症うつ病エピソード Mild depressive episode


ここで、iは、HPVをから得たのですか?

1. うつ病エピソード(F32)の全般基準を満たすこと。
2. 次の3項の症状のうち少なくとも2項があること。
1. 対象者にとって明らかに異常で、著明な抑うつ気分が、周囲の状況にほとんど影響されることなく、少なくとも2週間のほとんど毎日かつ1日の大部分続く
2. 通常なら楽しいはずの活動における興味や喜びの喪失
3. 活力の減退または疲労感の増加
3. 次に示す付加的な症状を併せて、B項との合計が少なくとも4項あること。
1. 自信喪失、自尊心の喪失
2. 自責感や、過信で不適切な罪悪感といった不合理な感情
3. 死や自殺についての繰り返し起こる考え、あるいは他の自殺的な行為
4. 思考力や集中力の低下の訴え、あるいはその証拠。例;優柔不断や動揺性の思考
5. 焦燥あるいは遅滞をともなう精神運動性の変化(主観的なものであれ客観的なものであれ、いずれでもよい)
6. いろいろなタイプの睡眠障害
7. 相応の体重変化をともなう食欲の変化(減退または増進)

第5桁の数字は、「身体症候群」の有無を特定するために使われる。

F32.00  身体症候群をともなわないもの
F32.01 身体症候群をともなうもの

F32.1 中等症うつ病エピソード Moderate depressive episode

1. うつ病エピソード(F32)の全般基準を満たすこと。
2. F32.0のB項における3項の症状のうち、少なくとも2項があること。
3. F32.0のC項における付加的症状を併せて、B項との合計がすくなくとも6項あること。

第5桁の数字は、「身体症候群」の有無を特定するために使われる。

F32.10 身体症候群をともなわないもの
F32.11 身体症候群をともなうもの

F32.2 精神病症状をともなわない重症うつ病エピソード
Severe depressive episode without psychotic symptoms

注:焦燥あるいは遅滞などといった重要な症状が著しいために、多彩な症状を詳しく説明したがらなかったり、あるいは説明できないことがある。重症エピソードの全般的な評価を行う場合、そうした状況でなされるということを知っておくべきである。


1. うつ病エピソード(F32)の全般基準を満たすこと。
2. F32.0のB項における3項の症状すべてがあること。
3. F32.0のC項における付加的症状を併せて、B項との合計が少なくとも8項あること。
4. 幻覚や妄想または抑うつ性昏迷を欠くこと。

F32.3 精神病症状をともなう重症うつ病エピソード
Severe depressive episode with psychotic symptoms

1. うつ病エピソード(F32)の全般基準を満たすこと。
2. 精神病症状をともなわない重症うつ病エピソード(F32.2)の診断基準の中でD項以外を満たすこと。
3. 精神分裂病や、分裂感情障害、抑うつ型の診断基準を満たさないこと。
4. 次の2項のうちの、いずれかがあること。
1. 妄想や幻覚は存在するが、それらは典型的な分裂病としての診断基準にあげられた以外のもの(すなわち、まったくありそうにないとか文化的にも状況にそぐわないものなどではない妄想や、三人称や絶えず論評し続けるような幻声とは違う幻覚)であること。最もよくみられる例としては、抑うつ的・罪責的・心気的・虚無的・自己関係づけ的・迫害的な内容のものである。
2. 抑うつ性昏迷

第5桁の数字は、精神病症状が気分に見合うか見合わないかを特定するために使われる。

F32.30 気分と調和した精神病症状をともなうもの
(すなわち、罪業妄想、無価値だとの妄想、身体疾患の妄想、
今にも災難が起こりそうだという妄想、あざけりや非難の幻聴)
F32.31 気分と調和しない精神病症状をともなうもの
(すなわち、情動的要素を欠く、迫害妄想や関係妄想、および幻覚)

F32.8 他のうつ病エピソード Other depressive episodes


ここに含まれるエピソードは、F32.0-F32.3のうつ病エピソードの記述には適合しないが、全体的な診断的印象から、その本質において抑うつ的であると示唆されるものである。例としては、緊張・困惑・苦悩などといった非診断的な症状に抑うつ症状が動揺性で混合しているもの(とくに、身体症候群を認めるもの)や、器質的原因にはよらない頑固な痛みや疲労に身体性抑うつ症状が混合しているもの(ときに総合病院の医療でみられることがある)などである。

F32.9 うつ病エピソード,特定不能のもの
Depressive episode, unspecified

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